2010年6月13日 (日)

課題曲解説 迷走するサラバンド⑧

Jの4小節前。

ファゴット・ソロに代替する楽器指定がない!

結果的に、ここは、ほかの楽器が担当することになることも多いので、音域と音色で作戦を立てないといけないところです。

また、ここだけではなく、中編成・大編成をとわずファゴットが演奏する前提で曲が書かれているようなのですね。

そして、その多くは中音域の楽器とのコンビネーションが設定されています。

事実上、ここから中低音が旋律を受け持つのですが、この箇所でオブリガートも小気味よく決めたいですね。

輪郭のはっきりしたアンサンブルが要求されると同時に、主題である「中低音部」を聴こえやすくさせるためには音量バランスの配分にも注意しなければならないと思います。

・・・

J5小節目から。

ペットやボーン、フルート、クラにも、こまかなクレッシエンドが書き込まれています。

これは、小節のなかの盛り上げです。記号が出るたびにクレッシエンドのしなおしが必要なようで、それも極端に落とす作業が効果的に行うことです。

その間、音程がぶれないようにすることは必須ですね

///////////////////

ここで一旦、前回までのおさらい。

・・

<序盤>

まず、「迷走」の名にふさわしい前半からのリズムの戯れ・・

少しイラつきながら、方向性を捜し求めて進む、、そんな印象の歌いだし。

独特のリズムで、それがまさに演出されています。

<中盤>

そしてその強烈な揺れのあと開放され歌われる遊戯の舞い。

この曲の名前、「サラバンド」の意味、知ってますよね?

一言でいうと、レガートで語る舞踊音楽、とも言えるのではないでしょうか。

この曲のテーマ中のテーマが、Jからの木管に託されています。

ひとつのフレーズの、どの位置に向かって盛り上げるかを、十分に考えて、レガートを作るのがいいと思います。

<終盤>

Jあたりから曲の終了に向けてセットアップしていく感じ。

駆け上がりながらも、また迷走しているような仕上げが作者の希望のようです。

(一旦、終わります)(--);

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2010年6月12日 (土)

課題曲解説 迷走するサラバンド⑦

Eから。

頭のダブルバーは、譜面ではストップさせるタイミングで書かれていないのですけれど、書かれているとおり演奏すると、自然に「一時休止」の印象になると思います。

Graveは、決して重層な音楽でなく、楽譜の幅をしっかり表現する場なのだと思います。決して「ゆっくり重い」の方向にならないようにしたいです。

また、ここはFからの中間部を導引するパーツですね。

定めたテンポで進められれば理想的です。

とてもオーソドックスなコードで盛り上げていますので、美しく、また過度な音量にならないように鳴らすことも重要ではないでしょうか。

・・・

Fから。

5拍子の続いたあとなので場合によっては、2小節あわせて6つの拍がある『6拍子』の感じ方で進める方法もありかも知れません。

つまり、2小節で、ひとつのフレージングをするということです。

そうすることで、楽曲の構成の意味(安定感)が出来る、、そんなコトにならないかなぁconfident

「6つの拍」で組み立てを設定すると・・・それぞれの最初の拍(アタマの一拍目)を、推進力を持って演奏する→あとの5つの拍のレガートが自然に流れるようになる~

そうなれば、思わぬ副産物ですね。up

・・・・

F~G~H~I~

ここはレガートメイク、ですね。

この中間部は常に、3つのラインがかさなって表現されていることに着目するといいですよ。

合奏で、その3つの音量のバランスを確かめながら、ストーリーを作っていく・・そんなイマジネーションが働くことを期待したいです。。

そして、この4つの段落のなかで、「起承転結」が存在します。

それをうまく表現できるかどうかが、ここを作る最大のポイントです。

(つづく)

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2010年6月11日 (金)

課題曲解説 迷走するサラバンド⑥

Bから。

サウンド的にはAからの流れを保ったままのようですね。

一瞬、まるで中間部を思わせるようなラインを少し聴かせます。

そして、また各楽器の声部が重なり合い、複合し合いながら全員参加の「錯綜」が演じられます。

そのほとんどが「ほかの楽器」(違うパート)とのtuttiとなり、個人の演奏技術が求められるところなのでしょう。

各楽器の音量的バランス配分を演出することが必要になることと思います。

具体的に言うと、音の出し方への配慮・・それを全体として束ねる力。

~基礎的な何かが分かっているかどうか、、、

(これは指導者も演奏者もだと思うのですが)

そんな試しの部分として審査される場所なのではないでしょうか。

・・・・

Cから。

アンサンブルの完成が聴きたくなるところ。

パッセージにはこまかなディナミクがついており、それを効果的に処理せねばなりません。

ひとつひとつの十六分を鮮明に演奏できる集中力も養いたいところですね。

リズムセクションの、はねるようなテヌート・スタッカートも大切に演奏したいし、すべての音符に主体性がほしい・・・そして、アクセントは余韻をもった音に仕上げたい。

個人の音出しによって、それらを完成させ、その集合体としての「合奏」。

それが目標でしょう。

あくまで、初めに個人練習があり、正確なリズム進行を得られてから全体での合わせであるべきだと思います。

そうやって、アンサンブルの力をつけることがベストではないでしょうか。

・・・

合奏を完成させるためには、全ての音符にインパクトをもたせ、また、楽器間・同じ動きをするパート同士の、ここでのせめぎ合い(対位法)を成功させることだと思います。

////

Dから。ブリッジ。

いままでの速いパッセージを集束させ、いかに次に繋げるか。それが問題(ーー);

盛り上げる方法はいろいろあると思いますが、ここは4小節ごとの展開が出来れば効果的ではないでしょうか。

また、2小節ごとに調性がかわっているように見受けます。小さな角度変化があるわけですね。これも見逃さず、表現に役立てたいです。

まあ、ここでは全体で同じコードを踏んでいるため、さして怖くありません。

自分たちの演奏を貫けばいいところだと思います。

普段からスケール&コード練習を効果的にやって、ハモれてれば十分。

大丈夫っしょsweat01

(つづく)

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2010年6月10日 (木)

課題曲解説 迷走するサラバンド⑤

Aから。

この曲の演奏をひとに聴いていただくためには、まず、ここから始められるリズミカルな五拍子を鳴らせるバンドでなければなりません。

それもコンクール本番で、課題曲として演奏するのであればなおさらですよね。

だから、ここからの解説は、あなたのバンドが、この速い五拍子が演奏出来る団体である前提で書きます。

クラリネットのタンギングが重くてついていけないだの、どうやったら早いパッセージが出来るようになるのですかなどと言っているレベルの団体は、その時点で、この曲を奏でる力がありません。

少しくらい練習したところで、演奏できるようにはなりません。

厳しいようだが、それが事実ですので、あえて本当のことを書いておきますね。

・・・

ここからの五拍子のリズムを分析してみると、その多くは『3+2』で出来ていることがわかると思います。

つまり、通常はその2つのファクターが配合され5拍になっていることが多いのでしょうが、ここでは、それは通用せず、5拍は、単純に5つの拍から構成されていると考えるべきではないでしょうか。

そうやって、1小節のなかでの完成度を上げることに全力を挙げていただきたいです。

そして、『急進するテンポと鋭利なリズム』は、Bに向かってのクレッシェンドで盛り上げられます。

ここでは同時に、この作者が、入念な演奏指示をしていることに注目すべきだと思います。

楽譜に忠実に演奏すること、作者の考えるアーティキレーションを実現させることが、曲完成への早道なのではないかと考えます。

(つづく)

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2010年6月 9日 (水)

課題曲解説 迷走するサラバンド④

4小節目。

B♭クラリネットのミナサマ。どうしましょ?笑bomb

作者自身が言っているように、この曲は何かを「予感」させてから『本題』に入る手法が作中にちりばめられています。

そして、ここは、その「予感」させる動きのようですね。

そのあと、8~11小節目のパッセージが帰結させています。

さらに13小節目アウフタクト以降では、イントロダクションに導引されて出現した主題が、全体を力強く席巻します。

サボタージュを現実に変える、一瞬の転換。

きっぱりと決めて、聴かせどころにしたいですね。

・・

12小節目までの全般にいえるのですが、こまかなパッセージの部分をどう扱うか・・

それを見落とさない練習にしたいです。

また、ダブルタンギングも場合によっては必需となることもあると思います。

シングルで極限まで練習することになるのですが、どうしてもこなせない部分が出てくることになるかも知れません。

その対策や作戦も、指導者自身に必要な部分ですね。

そして、ポイントとしては、、、

notes不用意な(きつい)アクセントのクセをつけないこと。

notes16分・早い3連符を滑らさないこと。

notesひとつずつの音符を大切に音にすること。

そして、主題がアーティキレーションを十分に理解して曲をこなすこと・・・

それらに注目したいと思います。

(つづくsweat01

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2010年6月 8日 (火)

課題曲解説 迷走するサラバンド③

いきなり、サックスの重奏、、

テナーとバリサクのコンビにした理由を考えると、狙ったイメージは『素朴』『淡白』『静かな語り』、あたりなのかも知れません。

ともかく、ここでは作者が一番言いたかったことが明らかにされる1フレーズのように思われ、この冒頭をじっくり聴くことは、即ち全曲に及ぶコンセプトをさぐる糸口なのだと思います。

また同時に、この音形が、ほぼ全曲にわたって奏される『副旋律』にも思えます。

手を変え、品を変え、アシスト役として随所に顔を出しているように思います。

これは、ぼくだけの感覚なのかも知れませんが、ようは、終盤まで左右する重要なフレーズであることを認識することが必要なのだと、ぼくには感じられるところです。

・・・

冒頭からの4小節。ほぼ全員の審査員が耳を集中して聴いているところ。

演奏のポイントは、

①4小節を1フレーズとして演奏する

②表現がオーバーにならないようにソロをこなす

③こまかなタンギングの粒をそろえる~荒くきこえないように自然に

この4つの小節が、まとまったひとつの音楽として完成させられることが、最初の課題のようですね。

~また追加しますね。。。

(つづく)

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2010年6月 7日 (月)

課題曲解説 迷走するサラバンド②

前回、書かせていただいたように、この曲は、ある意味では、ほぼ10箇所でインターバルをおいて多角的な心情が語られています。

一人の人間が思考を重ねるにつれ、思いが募るとともに感情が変化していき、発展していく・・

これは、曲を進めるための、「手法」なのではないかと思います。

この作者ならではの、独特の進め方ではないでしょうか。

その手法は、軽やかであり、自由自在であり、表現豊かですね。すばらしい!

ピアノの専門家であられ、すでに数曲の楽曲を手がけられていて、まったくマバユい才能。(羨まし~~sweat01

今後は、吹奏楽や管楽アンサンブル作品をたくさん書いてくださいね。

日本の(吹奏楽の)未来は、あなたにかかってます。up

///

さて、その話はともかく。。。

最初に、ぼくなりに考える『インターバル』の箇所を書いておきたいと思います。

練習に際しては、この区分で表現の仕方を変えていただいたり曲想設定に役立てください。

・・・・・・・

<考えられる構成>

①冒頭~ :イントロであり、第一主題を導くサブテーマでもある。

②A~ :細かなリズムへ音楽が移行

③B~ :ほぼ2小節ごとの1フレーズの長さを十分に聴かせる。

④C~ :音楽が多角化。対位法が多用されリズム展開する部分。

⑤D~ :後半への盛り上げが図られる。序盤からの流れを集約。

⑥E~ :Grave、つまり主題の直線的強さと正確な推進が大切。

⑦F~ :横方向に流れる美しさ。歌にする能力も試されるし・・

⑧J~ :小節ごとの正確な表現を!同時に音楽の変化が少しずつ動く難所。

⑨K~ :曲のなかで一番、音の輪郭が求められる最重要部分だと思います。

⑩L~ :一旦、曲想を回帰させながら、『再び点火』する。方向転換!

⑪Animato~ :ここからすでにエンディングが始まっていることに注意ですね。

///

この『段落』ごとにジョイント(つなぎ)のアウフタクトや短いブリッジが設定されています。

そのあたりの使い方は、譜読みを始めた時点で全員の認識にされることをお勧めします。

そうやっておいて個人練習に突入です。(笑)

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2010年6月 6日 (日)

課題曲解説 迷走するサラバンド①

2週間ほど前、今年の課題曲のスコアとDVDを見たとき、これはもう今年は解説を書くのをやめようと思いました。

各曲のオリジナリティが豊富であり、ぼくの理解を超える作品のオンパレードだと思ったからです。

だから、本当に迷ったのですが、この曲名にちなんで、「迷走」しながら書くことに決めました。

昨年までの流れを踏襲します。

一つひとつ、確認しながら、ゆっくり書くことにしますので、応援してくれるみなさん、よろしくお願いします。

・・・・・・

最初にスコアで見せていただいたときは、そうにも感じなかったのですけれど、解説を書くことに決めてから注意して見直してみると、場面転換の早さ、ストーリーの重要性が感じられる作品のように思いました。

展開の多くは、方向性から変えてしまうほどの「迷走」です。

そして、それは10箇所ほどのインターバルで区切られ、試行錯誤します。

それも、その多くはゆっくり進行しながら左右に揺れるようです。

じっくり、物語を綴る感覚。

まるで『戯曲』のような具体性を感じる好作品ですね。

(つづく)

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